(2)賃貸仲介

 

(2) 賃貸仲介

賃貸仲介に携わる不動産会社も、売買仲介に携わる不動産会社と同様、不動産業界のメインプレーヤーといえます。仲介会社は売買も賃貸も非常に重要なプレイヤーです。

賃貸仲介に係る手数料は宅地建物取引業法で『家賃の1カ月分+消費税』が上限と定められており、所有者(賃貸人、オーナーともいう)と借主(賃借人、テナントともいう)のどちらか一方から受け取る場合と、両者から受け取る場合があります。当然ながら一方から受け取る場合は『家賃の1カ月分+消費税』が上限で、両者から受け取る場合は『家賃の1カ月分+消費税』の2倍が上限ということになります(したがって、仲介会社としては所有者(賃貸人、オーナー)から仲介依頼を受けた物件については、自ら借主(賃借人、テナント)を見つけてきたほうが効率が良いことになります)。

ただし、実際の賃貸仲介の実務では、AD(広告料)というものが、所有者(賃貸人、オーナー)から支払われることがあります。ADとは「Advertisement」の略で、上限に関する決まりはありません。どのような場合に支払われるかというと、借主(賃借人、テナント)がなかなか決まらず空室が長期化している場合、賃貸募集をかけ始めたばかりだが早期に借主(賃借人、テナント)を決めたい場合等が挙げられます。先ほどADに上限はないと記載しましたが、実務上は1ヶ月分が一般的で、私は2ヶ月分支払っているケースまでは見たことがあります(3ヶ月以上は見たことがありません)。ADが支払われる物件は1回の仲介で、所有者(賃貸人、オーナー)から2~3ヶ月分(仲介手数料1ヶ月分+AD1~2ヶ月分)が報酬として支払われるため(借主(賃借人、テナント)を見つけてくればさらに1ヶ月分)、非常に効率がいいのです。そのため、不動産仲介会社も優先的に借主(賃借人、テナント)を探そうとし、結果的に早期の成約につながります。所有者(賃貸人、オーナー)としては、2~3ヶ月空室となるリスクを抱えるよりは、通常より多くの報酬を支払って早期に借主(賃借人、テナント)を決めたいという場合にAD(広告料)を支払います。なお、人気のある賃貸物件であれば、ADを支払わなくても賃借人(借主、テナント)が決まるためADを支払うことは少ないのですが、人気のない物件や、人気はあるのだけれども人の移動の時期(1~3月、9~10月)に空室が埋まらなかったために、ADを支払ってでも賃借人(借主、テナント)を決めたいという場合に支払われることがあります(なお、1~3月は4月の新年度を迎えるにあたり学生や社会人の移動が増える時期、9~10月は会社の秋の人事異動で人の移動が増える時期となります)。

賃貸仲介に携わる不動産会社は多岐にわたりますが、賃貸仲介に携わる不動産会社には住宅(主に賃貸マンション)に特化した不動産会社、オフィスに特化した不動産会社、店舗に特化した不動産会社があります。

住宅仲介に携わる不動産会社で大手は、大東建託グループ、ミニミニ、エイブル、東建コーポレーション、ハウスメイトパートナーズ等が挙げられます。

オフィス仲介に携わる不動産会社で大手は、三幸エステート、三鬼商事、CBREが有名です。

店舗仲介に携わる不動産会社は詳しくないためはっきりとしたことは記載できないのですが、地場の大手の不動産業者が賃貸仲介に入っているケースをよく見ます。