1.マンション管理士
マンション管理士はマンションの管理組合に対し、組合の運営やマンションについてコンサルティングを行うマンションの専門家です。業務にはマンションの管理規約および使用細則の作成に関するサポート、区分所有間のルールの策定に関するサポート、区分所有者間のトラブル解決に向けた予備交渉、長期修繕計画の策定及び見直しのサポート、マンション管理に関する住民相談受付などがあります。ただし、マンション管理士には独占業務がなく、マンション管理士の資格を有する人しか資格名を使用できない名称独占となります。
なお、似た資格に管理業務主任者がありますが、管理業務主任者とマンション管理士は立ち位置が異なります。すなわち、管理業務主任者はマンション管理会社の一員として業務を行うのに対し、マンション管理士はマンション管理組合の立場に立って、管理組合の運営やマンション住民のためのアドバイス等を行うのです
2.難易度
★★★☆☆
3.国家資格か民間資格か
国家資格
4.受験者数
11,000人~12,000人
5.合格率
8~10%程度
6.業務内容
マンションの管理、運営はマンションの管理組合が担っていますが、その管理組合の構成員である区分所有者(住人)は、マンションの管理、運営に詳しい人ばかりではなく、むしろ知識のない人たちの方が多いのが現状です。そこで、マンションの管理、運営に素人である管理組合に対して専門家の立場から様々なアドバイスを行うのがマンション管理士であり、その業務内容としては大きく分けて4つになります。
(1)マンション管理組合の運営サポート
これはマンション管理士が、管理組合の構成、会計処理の方法、運営コストの削減などについて、マンション管理組合へアドバイスを行い、組織運営をサポートすることを指します。
(2)マンションの修繕工事の計画作成
建築後のマンションは時の経過とともに劣化していきますので、約12年周期で大規模修繕が必要になりますし、それ以外にも定期的な修繕や設備の更新が必要となります。マンション管理士はその知識を生かしてこの長期的な修繕計画の策定や、その予算管理、さらには修繕工事を依頼する業者の選定などに関してアドバイスを行います。
(3)管理規約の策定、見直し
マンションには、マンションの住人が快適に暮らせるよう、共用部の範囲や使用方法、管理組合の運営などに関する基本ルールを定めた「管理規約」というものが設けられています。この管理規約の策定や、見直しの提案などに関するアドバイスもマンション管理士の業務の1つです。
(4)区分所有者(住人)間のトラブル解決
ゴミの出し方、騒音、喫煙、駐車場・駐輪場の使い方などに関する区分所有者(住人)同士のトラブルは、マンションで暮らしているとよく起こる問題です。この区分所有者(住人)同士にトラブルについて、専門家の知見を生かして早期解決へ向けた対応を行うのもマンション管理士の業務となります。
7.活躍の場所
マンション管理士の代表的な勤務先はマンション管理会社だと考えられます。
マンションの管理、運営を担うのはマンションの区分所有者(住人)で組織される管理組合ですが、前記の通り管理組合の構成員である区分所有者(住人)は、マンションの管理、運営に明るくなく、また普段は別の仕事をされている方がほとんどであるため、マンションの管理、運営に特化することができません。そこで、マンションの管理、運営を外部委託することになるのですが、その委託先がマンションの管理、運営を専門的に行うマンション管理会社です。このマンション管理会社はそのマンションを分譲した不動産会社(デベロッパー)の系列会社が受託することが一般的で、その業務はマンション管理組合の運営サポート、マンションの修繕工事の計画作成、)管理規約の策定、見直しなどとなりますが、これはマンション管理士の代表的な業務と一致します。そのため、マンション管理士はマンション管理会社においてその専門的な知見を生かして活躍が可能です。
8.独立の可否
マンション管理士として独立されている方もいらっしゃいますが、マンション管理士は前記のとおり独占業務がないため、他の資格よりも独立のハードルは高いと考えられます。また独立する場合でも、他の資格を取得してダブルライセンス、トリプルライセンスで独立される方が多いようです。
9.勉強時間
500~700時間
10.勉強方法
独学も可能ですが、資格の専門学校に通って講義か、通信講座を受けるのが一般的です。専門学校の講義やテキストは合格に必要な内容が網羅されており、独学で勉強するより圧倒的に効率的です。
11.試験日
原則11月の最終日曜日