1.建築士
建築士は、「建築士法」に基づき、建物の設計・工事監理を独占業務とする建築のプロです。なお、建物の設計とは、建築する建物の構造、設備、外観、内装、材料、工事方法などを決め、設計図を作成することをいい、工事監理とはその工事を設計図と照合し、工事が設計図通りに実施されているかを確認することをいいます。
建築士の資格には、「一級建築士」、「二級建築士」、「土木建築士」の3種類があり、それぞれの資格で、建物の規模、用途、構造に応じて、取り扱うことのできる業務範囲が定められており、「土木建築士」→「二級建築士」→「一級建築士」の順で取り扱うことのできる建物の範囲が広がります。
(1) 一級建築士
一級建築士は国土交通大臣の免許の交付を受けた国家資格です。一級建築士は、設計する建物に制限がなく、全ての建築物の設計・工事監理等の業務を行うことができます。そのため、戸建住宅のような小規模な建物の設計から、オフィスビル、商業施設、倉庫、ホテル、学校、病院、劇場等の大規模建物まであらゆる建物の設計・工事監理に携わることが可能です。
(2)二級建築士
二級建築士は都道府県知事の免許の交付を受けた国家資格です。
二級建築士は一級建築士に比べると設計・工事監理等を行うことのできる建物の規模に制限があります。
二級建築士の設計できる建物は、高さ16m以下、2・3階では延べ面積1,000m2以下の木造建造物、高さ16m以下、延べ面積300m2以内の鉄筋コンクリート、鉄骨等の建造物、500m2以下の学校、病院、劇場、百貨店などの公共建築物です。
2.難易度
一級建築士 ★★★★★
二級建築士 ★★★☆☆
3.国家資格か民間資格か
国家資格(一級建築士、二級建築士のどちらも)
4.受験者数
(1) 一級建築士
学科試験 28,000人~31,000人
製図試験 10,000人~11,000人
※「学科の試験」と「設計製図の試験」が行われ、「設計製図の試験」は「学科の試験」に合格しなければ受験することができません。
令和2年以降の「学科の試験」に合格した者は、その後に実施される4回の建築士試験のうち2回(「学科の試験」の合格年の「設計製図の試験」を欠席する場合は3回)について「学科の試験」の免除を受けることができます。
(2) 二級級建築士
学科試験 17,500人~19,000人
製図試験 10,000人~11,000人
5.合格率
(1) 一級建築士
学科試験:15%~23%程度
製図試験: 9%~12%程度
(2) 二級建築士
学科試験:35%~42%程度
製図試験:22%~25%程度
6.業務内容
建築士の独占業務は、設計と工事監理です。
以下ではその内容について、記載していきます。
(1) 設計業務
建築設計とは、建築主の意向に即して建築する建物の構造、設備、外観、内装、材料、工事方法などを決め、工事のために必要となる設計図や仕様書を作ることです。
この建築設計は、意匠設計、構造設計、設備設計に分けられます。
① 意匠設計
意匠設計とは施主から要望を聞き取り、敷地条件や周辺の環境を考慮したうえで、建物の配置や形状、室内の間取りやデザイン等を設計することを指します。見た目を左右する設計におけるデザインの部分となります。
② 構造設計
地震や積雪などの災害によって建物が壊れてしまわないように、耐久性のある建築を作るための骨組みを決める設計が構造設計になります。
③ 設備設計
空調、電気、給排水、昇降機、インターネット設備などの設計を担うのが設備設計になります。
(2) 監理業務
工事監理とは、工事現場に立ち合い設計図や仕様書と実際に行われている建築工事とを照らし合わせ、鉄筋の数や配置、接合箇所等が設計図や仕様書通りに建築されているかを確かめる行為を指します。