1.管理業務主任者
管理業務主任者は、マンションの管理会社がその業務を行うにあたって確保しなければならない資格者で、宅地建物取引業における宅地建物取引士のような存在です。マンション管理会社は、管理の委託を受けた管理組合30組ごとに1名以上の管理業務主任者を設置する必要があります。管理業務主任者には、管理受託契約に際しての重要事項の説明、管理受託契約に関する重要事項説明書への記名・押印、管理受託契約書への記名・押印、管理組合に対する管理事務に関する報告の4つの独占業務があります。似た資格にマンション管理士がありますが、管理業務主任者とマンション管理士は立ち位置が異なります。すなわち、管理業務主任者はマンション管理会社の一員として業務を行うのに対し、マンション管理士はマンション管理組合の立場に立って、管理組合の運営やマンション住民のためのアドバイス等を行うのです。
2.難易度
★★★☆☆
3.国家資格か民間資格か
国家資格
4.受験者数
1.4万~1.6万人
5.合格率
19~22%程度
6.業務内容
マンションの管理、運営はマンションの管理組合が担っていますが、その管理組合の構成員である区分所有者(住人)は、マンションの管理、運営に詳しい人ばかりではなく、むしろ知識のない人たちの方が多いのが現状です。そのため、マンションの管理組合は、その管理業務をマンション管理会社に委託します。管理業務主任者は、通常このマンション管理会社に所属し、管理組合が対応しきれない部分をその専門的な知識と豊富な経験を生かしながら支えていく業務を行います。そしてその業務内容(独占業務)は大きく分けて次の4つになります。
(1)管理受託契約に際して重要事項の説明
マンション管理会社がマンション管理組合と管理委託契約を締結する前に、マンション管理会社に所属する管理業務主任者はその管理委託契約に関する重要事項を管理組合に対し説明しなければなりません。重要事項としては契約期間、委託される管理事務の内容、金銭の取扱の方法、保証契約の内容、更新・解除の手続き方法などがあります。
(2)管理受託契約に関する重要事項説明書への記名・押印
上記のとおり、マンション管理会社はマンション管理組合と管理委託契約締結する前に重要事項の説明を行いますが、その際重要事項が記載された書面である重要事項説明書をマンション管理組合に交付しなければなりません。そして管理業務主任者が重要事項説明書に記名・押印を行うことにより、重要事項の説明に関する責任の所在を明らかにします。
(3)管理受託契約書への記名・押印
重要事項の説明を終えた後、マンション管理会社はマンション管理組合と管理受託契約を締結しますが、この際マンション管理会社はマンション管理組合に対し管理受託契約書を交付する必要があります。そしてこの管理受託契約書にも管理業務主任者の記名・押印が必要となります。管理業務主任者が契約書へ記名・押印することにより、誤りのない正しい契約が結ばれたことを証明します。
(4)管理事務に関する報告
マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に対し、定期的に管理業務主任者から当該管理事務に関する報告をさせなければならないことになっています。そしてこのこの管理事務の報告も、管理業務主任者にしかできない業務とされています。
7.活躍の場所
管理業務主任者の活躍の場は、やはりマンション管理会社です。前述のとおり、マンション管理会社は管理の委託を受けた管理組合30組ごとに1名以上の管理業務主任者を設置する必要がありますが、マンションは年々増えており、マンション管理会社が管理業務を受託するマンションも増加しています。国内には現在すでに600万戸以上のマンションがあり、10人に1人がマンションで暮らしていますが、今後もマンションの増加とともに、管理業務主任者のニーズも年々高まっていくことが予想できます。
8.独立の可否
管理業務主任者は、マンション管理会社が管理委託を受けたマンション管理組合に対して説明や報告を行うにあたって必要となる資格であるため、その業務の性質上、独立開業には向かない資格だと考えられます。仮に独立する場合には、自らがマンション管理会社を立ち上げることが必要となってきます。
9.勉強時間
300時間
10.勉強方法
独学も可能ですが、資格の専門学校に通って講義か、通信講座を受けるのが一般的です。専門学校の講義やテキストは合格に必要な内容が網羅されており、独学で勉強するより圧倒的に効率的です。
11.試験日
12月上旬の日曜日