ゼネコン

4.ゼネコン

(1) ゼネコン

①ゼネコンとは

ゼネコンは「3.デベロッパー」の項でも記載したとおり、ゼネラルコンストラクター「general constructor」の略であり、総合工事業者というような意味になります。ゼネコンは土木工事建築工事を発注業者から元請け業者として受注し、各分野の専門業者(サブ・コンストラクター略して「サブコン」といいます)に現場の作業を発注し、請け負った工事全体のとりまとめを行います。「設計」、「施工管理」、「研究開発」が主要な業務となります。

なお、土木工事とは、道路、橋、トンネル、ダム、鉄道、高速道路などをつくる工事を指します。地面や地下を範囲とする工事と考えれば理解しやすいかもしれません。一方建築工事とは、戸建住宅、マンション、オフィスビル、店舗ビル等の建築物を新築したり、増築、改築等を行う工事を指します。こちらも地面の上を範囲とする工事と考えると理解しやすいかもしれません。

②ゼネコンの規模による分類

a.スーパーゼネコン

スーパーゼネコンは売上高が1兆円を超える上位5社のゼネコンを指します。会社としては、大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店となります。なお、竹中工務店は非上場の会社です。

b.大手ゼネコン

スーパーゼネコンに次ぐ規模を有するゼネコンで、売上高3,000~4,000億円以上のゼネコンを指します。会社としては、長谷工コーポレーション、戸田建設、五洋建設、前田建設工業、三井住友建設、熊谷組、西松建設、東急建設、安藤ハザマ、フジタなどが挙げられます。

c.中堅ゼネコン

売上高1,000億前後のゼネコンを指します。会社としては、浅沼組、飛鳥建設、奥村組、東洋建設、鉄建建設、錢高組、福田組、鴻池組(非上場)などが挙げられます。

d.マリコン

マリコンはマリンコンストラクター(marine constractor)の略で、ゼネコンの中でも港湾・護岸工事、海底工事、海底トンネル工事、埋立て工事、防波堤工事や橋梁基礎工事などの海洋土木・港湾施設建築工事を得意とする会社を指します。会社としては、五洋建設、東亜建設、東洋建設、若築建設、大本組、不動テトラなどが挙げられます。

③ゼネコンの業務

a.設計

ゼネコンの設計部門は、クライアントの要望をもとにデザインや利便性を考慮して設計し、図面や模型に起こしていきます。この設計の対象は(a)意匠設計、(b)構造設計、(c)設備設計の3つとなります。

(a) 意匠設計:外観や内装のデザインや間取り、造作などの設計を行う。

(b) 構造設計:地盤や積雪・地震などに対する安全性を考慮して、建物の土台や骨組みの設計を行う。

(c) 設備設計:空調、電気、給排水、エレベーター、インターネット環境など、建物のインフラの設計を行う。

土木における設計は(a)概略設計、(b)詳細設計の2つとなります。

(a) 概略設計:初期段階の設計で、構造、材料、工法など計画全体の大枠の設計を行う。

(b) 詳細設計:概略設計をもとにより詳細な設計を行う。

b.施工管理

施工管理は工事現場において、工事がスケジュール通りに進行しているか、予算をオーバーしていないか、事故が発生しないよう安全に行われているか、質の高い建物が造られているかなどを管理する業務です。施工管理には(a)安全管理、(b)工程管理、(c)原価管理、(d)品質管理の4つの業務があります。

(a) 安全管理:建築現場の安全管理。建築現場で働く作業員が安全に作業できる環境を整える業務。

(b) 工程管理:建築工事を計画通り進めるための管理業務。工程表を作成し、進捗を確認しながら全体の調整を行う。

(c) 原価管理:人件費、資材費、機械のレンタル料といった工事に係る原価を計算し、あらかじめ決められた予算内に収める管理業務。

(d) 品質管理:工事が設計図や施工計画書に記載されている通りに進んでいるか、ひいては建物が設計図や仕様書に記載された品質を確保できるよう管理する業務。

c.研究開発

研究開発は新たな資材や建築工法を開発すること。

(2) サブコン

サブコンはサブ・コンストラクター「sub contractor」の略で、ゼネコンから設備関連の工事を請け負う会社です。

ゼネコンはプロジェクト全体を統括・管理し、基本的に自ら施工することはなく、サブコンがゼネコンから振り分けられた特定の作業や工程を請け負い、実際に施工を行います。

具体的には電気工事(配線や電気設備)、空調・給排水工事(空調システム、換気システム、給排水設備)、内装工事(壁、床、天井の仕上げ)、消防設備工事(スプリンクラー、自動火災報知設備)などの工事が該当します。