今回は不動産鑑定士試験の勉強法のうち暗記法についてです。
不動産鑑定士は鑑定理論をはじめとして、会計学、行政法規は暗記で対応できる科目ですし、経済学、民法もある程度の暗記が必要です。そのほか不動産鑑定士試験に限らず、資格試験に暗記はつきものですので、いかにうまく暗記を進められるかは資格試験の合否を大きく左右します。
暗記をする際には、書いて覚える、読んで覚える等人によってさまざまですが、まず私は書きません。内容を理解したうえで読んで覚えます。別の投稿でも記載しましたが、書くと1回あたりの時間が長くかかりますし、書いたことに満足してしまい暗記が進まないためです。
また暗記をする際に重視している点は、復習のタイミングと反復復習です。
この投稿を読んでいる方は、「エビングハウスの忘却曲線」というものをご存じでしょうか。ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが提唱した理論で、特に中期記憶(長期記憶)に対する時間の経過と記憶の関係を表した曲線のことをいいます(下記図参照)。
その曲線は縦軸を覚えている割合、横軸を学習後の経過時間として右肩下がりの曲線となっており、この曲線からは学習の1時間後には56%を、24時間後には66%をそして、1ヶ月後には79%を忘れてしまう様子がわかります。また学習直後の忘却率が高く、その後の忘却率は緩やかになっていることもわかります。
しかしこの忘却曲線が本来示しているところは、上記のような忘却するまでの時間(時間の経過と忘却率との関係)ではなく、一度覚えたことを再度覚えなおす際にどのくらい時間を節約できるのか(減らせるのか)というもので(下記グラフ参照)、これを節約率といいます。
上記グラフでは1時間後の節約率は44%、1日後は34%、1ヶ月後は21%となっていますが、これをもう少し詳細な表にすると以下のようになります。
覚えてから経過した時間 | 節約率 |
20分 | 58% |
60分 | 44% |
90分 | 35% |
1日後 | 34% |
2日後 | 27% |
6日後 | 25% |
31日後 | 21% |
そしてこの節約率について具体例を挙げると、例えば初めて学習する際に10分かけて覚えたことを、20分後に再び覚える際には58%の時間を節約できる、つまり4.2分で覚えることができる、1時間後なら44%の時間を節約できる、つまり5.6分で覚えることができるというものです。
この節約率を前提とすれば、学習後復習のタイミングが早いほど短い時間で覚え直しができることとなります。
前置きが長くなりましたが、上記の忘却曲線を前提として、私の暗記は、
1.新しい項目の勉強をしたら、時間を空けずに復習する。
2.復習は継続して行う。
を重視していました。この方法ですと、復習(反復学習)に多くの時間を割くことになります。そのため、新規項目の勉強と、既に勉強した項目の復習時間の割合は、肌感覚ですが、1対2程度です。私は学習を始めた当初は、復習、反復を軽視し、次から次に新しい項目の勉強に進んでいました。しかしこれですと、以前勉強した項目が全く身に付いていないことが多々あり、これを改善するため試行錯誤を重ねて、この方法に落ち着きました。
上記の2.についてもう少し記載します。復習の際には、最初は、仮にテキストを1ページ目から学習しているのであれば、毎回1ページ目から復習します。このやり方ですと例えば100ページまで勉強が進んでいれば、復習の際には1ページ目から100ページまで復習することとなり、復習量が徐々に増え、勉強が進むにつれその量は膨大になります。
しかし一方で、最初の方のページほど復習の都度勉強し直しているため、記憶が定着していき、おそらく100ページくらいまで勉強が進んでいる頃には完全に暗記していて、何も見ずにその内容を一言一句違わずに言えるようになっています。ここまでくればその部分の復習は、毎回行わなくてもよく、時間を空けて忘れない程度の頻度で復習すればです。
今回は暗記法について記載しましたが、どこで勉強してましたか?という質問もよく受けるので、別の記事にて記載します。