2024年9月17日、令和6年都道府県地価調査の結果が公表されました。
今回は全国の主要5都市について住宅地、商業地の価格1位の地点についてまとめました。
前回住宅地について記載しましたので、今回は商業地です。
主要5都市の商業地でも価格(㎡単価)は東京の商業地が圧倒的に高いです。
1種単価で1,000万円を超えるというのは、もはや投資採算性では説明ができない水準だと思います。
投資採算性とは簡単に言うと、この土地を購入してビルを建築し、そのビルからの賃料収入で利益を上げようとしたときに、初期投資額(土地の取得額と建築費)に対して賃料収入がどの程度の割合になるかを意味します。当然ながら初期投資額が高ければ、建築後のビルから得られる賃料収入が高くないと投資採算性は悪化します。東京の地価調査の地点は銀座2丁目に設定されており、賃料は相当にとれますがそれでも限度があります。銀座界隈ですと、立地がよければ広告宣伝効果を見込んで投資採算性度外視で売買が行われるということがあるため、このような価格水準になっているものと考えられます。
その他の都市について見ると、大阪、名古屋の価格が続きます。2大都市でも東京都との差は大きく、単純に㎡単価比でみると大阪、名古屋は東京の2分の1程度、1種単価でみると4割程度となっています。規模について見ると、東京の地価調査の地点は353㎡ですので、容積率が1100%とはいえ、それほど大きな建物が建つ土地ではありません。一方大阪、名古屋は10,000㎡前後の土地に地価調査の地点が設定されており、前者は大規模な再開発で建築されたオフィスを中心とした複合ビル、後者も名古屋駅の桜通口正面に位置するオフィスを中心とした大規模複合ビルが建っており、いずれのビルもそれぞれの都市の代表的なビルといえます。地価公示や地価調査はその土地が更地であった場合の売買価格を示していますので、現在どのような建物が建っているかは直接的には関係ありませんが、おそらく大阪と名古屋の土地が更地であったとしても売買で取得した買主は現在の建物と同様の建物を建築すると考えられます。そのため、この2地点については現在の建物が非常に参考になるのですが、そうするとこれだけ立派なビルであれば相当に賃料はとれるはずです。それでも東京の353㎡の土地と倍半分の価格差になっているのは東京と地方都市の実力の差でしょうか。なお、大阪、名古屋の地価調査の地点は10,000㎡前後で容積率も1600%、1400%ですが、このような土地に何かを建築しようとすると、公共的な施設などあまり賃料を生まない施設を建物内に設けなければならない場合があり、収益性の高い事務所用途、店舗用途だけを設けることができず、それらが収益性を落とす要因になることがあります。
福岡も規模小さい割には高値を示しています。容積800%ですので、おそらく天神ビックバンによる容積緩和は受けない想定での価格だと考えられます。札幌は福岡の6割くらいの水準となっていますが、上昇率が福岡3.4%に対し、8.5%となっていますので、まだテナントの賃料が上昇中であるか、土地値が市場価格(市場で売買される価格)に追いついていないということが考えられます。
2024年7月1日の地価調査については今回で終わりです。