2024年9月17日、令和6年都道府県地価調査の結果が公表されました。
国土交通省の発表では全体的な特徴として「全国の地価は、景気が緩やかに回復している中、地域や用途により差があるものの、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇幅が拡大又は上昇傾向が継続するなど、全体として上昇基調が強まっている。」とのこと。
コロナ禍後の外国人観光客の増加や再開発等の影響を受けてる地域は大都市圏、地方都市圏に関わらず地価上昇が継続・拡大していますが、そのような要因のない地域では引き続き地価下落が継続しています。
以下は三大都市圏の東京23区、大阪市、名古屋市及び地方4市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)の住宅地、商業地、工業地の平均地価変動率です。
札幌市は昨年の大きな上昇率から大幅に縮小、仙台市、広島市、名古屋市はほぼ同程度の上昇率、東京23区、大阪市、福岡市は上昇率を拡大させています。
大阪市は特に商業地の上昇率の伸びが大きく、コロナ禍が明け外国人観光客が戻ってきていることがの影響が大きく出た結果となっています(逆にコロナ禍の最中は下落率も大きかったです)。
札幌市の上昇率が縮小した背景には建築費の高騰があるようですが、建築費の上昇は全国的なものであるため、札幌市特有の要因ではありません。
推定ですが、札幌市では土地価格が既に高い中、建築費も上昇し、例えばマンション等の販売価格がコストの上昇(土地の仕入値や建築費の上昇)を受けて上昇し、地元の人からはなかなか手が届かない水準になっているということが考えられます。そのため、これまでは高値で土地を仕入れても、販売価格に転嫁できてたマンションデベロッパー等があまり高値での仕入れをしなくなったというようなことが背景にあるのではないかと考えています。商業地についても、コロナ禍が明け外国人観光客が戻ってきて店舗にもテナントが戻ってきたが、テナントからとれる賃料が頭打ちになっており、投資利回りもそれなりに低くなっている(価格が高くなっている)ため、投資家もこれ以上突っ込んだ価格では買いにくいということが背景にあるのではないかと考えています。
福岡市は地方都市の中では上昇率が高く非常に元気な都市ですが、天神ビックバン、博多コネクティッドと称する福岡市中心部での再開発で今後もオフィスが大量に供給される見込みであり、どこまで需要がついてくるかが注目されるところです。再開発でオフィスは従前の賃料水準よりもかなり高い水準で成約(テナントが決まる)ようになりましたが、あくまで支店経済の側面の強い都市ですので、需要が追い付かず賃料が下落するような局面になれば、土地価格にも影響が出てくると考えています。住宅については、マンション販売が引き続き好調で、これが住宅地の価格を牽引していると考えていますが、こちらも札幌市と同じく既に地元の一般的な所得水準の方では手を出しにくい価格水準となってますので、どこまで需要がついてくるかが重要になってくると考えています。ただ福岡市はアジアに近いことから、香港、台湾、韓国等のアジア圏の方もマンションを購入しており、比較的需要者層は厚いと考えられます。
また上昇率上位や価格上位、またここでは触れなかった各エリアについて次回以降触れていきたいと考えております。