(1) 売買仲介
売買仲介に携わる不動産会社は不動産業界のメインプレイヤーといっても過言ではありません。
規模も町の不動産会社から、国内の大規模不動産売買仲介に携わる信託銀行の不動産仲介部門、大手不動産会社まで多岐にわたります。
大雑把に分けると①町の不動産会社、複数店舗を構える②中規模不動産会社、全国に店舗を構える③大手不動産会社、④信託銀行の不動産仲介部門に分けられます。
①町の不動産会社
町の不動産会社でいえば、個人で経営されている不動産会社から、従業員が数人の法人等が挙げられます。
扱う不動産は土地、中古戸建、居住用マンション(1室)、投資用物件(マンション1室、アパート、1棟マンション)等、中小規模の住居系物件が多く、大規模オフィスや店舗ビル等の売買仲介に携わる機会は少ないと考えられます。
②中規模不動産会社
次に複数の店舗を構え、1つの都道府県あるいは近隣の都道府県まで含む複数の都道府県で営業を行う中規模不動産会社です。
この規模になると、売買仲介のみならず賃貸仲介も行っている会社が大半です。売買仲介でいうと土地、中古戸建、マンション(1室)に加え中小規模の事業用不動産(店舗ビル、オフィスビル)等も取り扱っています。中規模不動産会社は、その都道府県での取り扱い物件数が1番である会社も多く、賃貸管理(賃貸アパートや賃貸マンション等の管理を所有者から受託し、入居者探しや家賃回収、月ごとの物件収支の所有者への報告、物件の日常清掃や設備(エレベーターや消防設備等)点検等)を行っている物件も多いため、地域の不動産情報に精通しています。そのため、このエリアが人気の住宅地であるとか、この辺りは空室が出るとなかなか決まらない等、地元ならではの情報を蓄積しており、東京の不動産投資家がヒアリングに行くケースも多くあります。
③大手不動産会社
大手不動産会社は全国に拠点を有しており、大手不動産デベロッパーの関連会社や信託銀行の子会社である会社が売り上げ高上位を占めています。
売り上げ上位はインターネットでも公表されているため記載すると、三井不動産リアルティグループ、東急リバブル、住友不動産販売、野村不動産ソリューションズ、三井住友トラスト不動産等が挙げられます。
大手不動産会社は顧客が個人のみならず、大手法人等とも取引があり、土地、中古戸建、マンション(1室)、事業用不動産(店舗ビル、オフィスビル)に加え、倉庫、工場等やや特殊な物件も取り扱っています。さらに入札(不動産所有者が決まった買主に売却するのではなく、不動産仲介会社に依頼して複数の買主候補を募り、その中で最も高い売買金額を提示した買主候補に売却する方式)の取りまとめなども行っています。
④信託銀行の仲介部門
信託銀行の仲介部門は、ネット広告(インターネット上で物件の公開)を行っておらず、個人の売買仲介等にも携わっていません。そのため、一般の方は信託銀行がどのような不動産を取り扱っているのかわからないと思います(そもそも信託銀行に不動産売買部門があることや、あっても大型物件を中心に取り扱っていることなど私もこの業界に入るまで知りませんでした)。信託銀行は基本的には金額の大きな売買物件を取り扱っており、一定金額以下の売買物件については、上記③の関連会社で取り扱うというルールが設けられている信託銀行もあるようです。信託銀行はメガバンクに属さない独立系の三井住友信託銀行、三菱UFJフィナンシャルグループの三菱UFJ信託銀行、みずほフィナンシャルグループのみずほ信託銀行、三井住友フィナンシャルグループのSMBC信託銀行が主要企業であり(独立系の三井住友信託銀行と三井住友フィナンシャルグループのSMBC信託銀行は似ていますが別企業です)、不動産仲介部門以外でも大手企業との取引があることから、取引先企業の不動産売買等のほか大型不動産の入札では仲介に入っていることが多い印象です。